珍宿@ロンドン
先日のローマでの珍ホテル体験話で、もひとつ思い出した話。
貧乏な一人旅でイギリスに行ってみた時のことです。お金はないけど、時間だけはたっぷりあったので、またもや宿も決めずにフラりとロンドンへ。なんとなーくビクトリアステーションから、住宅街をぶらぶら歩いていたら、小さい真っ白ないかにもイギリスらしい建物にB&Bの看板発見。中に入ると普通の家で玄関に小さいデスクがあるだけの民宿でした。三階建てで全部で5部屋ぐらいです。オーナーさんから雇われているというインド系のおじさんが対応してくれました(基本毎日玄関のデスクにいます。家族で一階の部屋に住んでいます)。10日間泊まると言ったら安くしてくれました。一泊数千円ぐらいか、ユースホステルよりお得だったような気がします。私の部屋は二階の個室。狭いけど真っ白でカーテンが派手な感じです。電話もテレビもありませんが、すごく気に入りました。なぜか壁にスチールのハシゴが立てかけてあります。風呂トイレは共同です。朝食がついていて、日数分のチケットをくれました。部屋で荷物を整理していると、インド系おじさんがきて、テレビを見たいか?ときいてきました。見たいと言ったら手伝えって言うのでついて行ったら、別の部屋へ行きました。誰もいませんでしたが、いかにも宿泊客がいそうな雰囲気で、私物が散らかっています。おじさんはその部屋のテレビを外すと私の部屋に運びました。その部屋の人が戻ってきたらテレビがなくなってて悪いな、と思いましたが、よくわからないのでありがたくテレビを見ることにしました。
翌朝、朝食を食べに一階へ行きましたが、食堂がありません。玄関のデスクにいたインド系のおじさんにきいたら、右へ曲がってまっすぐ行ったら階段を下に行け、との事。玄関には右へ曲がる廊下なんかありません。わけわからん!何度も食堂はどこ?と質問してしまいました。何度きいても返事は同じ。ついにイライラしたおじさんがドアをあけて出ていけ!なんて言うから、もう!なんだよ!って、私も悪態つきつつ、騙されたと思ってとりあえず玄関のドアをあけてみました。何かヒントがあるのかと思ったけど、そこは普通に外。しかも真冬。小雪もちらついてて、道路には出勤する人たちが駅にむかってザクザク歩いています。いかにも部屋着で朝食チケットを一枚持って町にたたずんでる場違いな私。しかも足元は季節はずれも甚だしいサンダルです。ブーツをはいてきたので、室内用に持ってきたのです。しかし、ここで戻ったら私の負け…。まっさかねーなんて、右に曲がってまっすぐ行ってみました。ワンブロック端から端までたっぷり歩いて、なんなんだ!と怒りそうになった時、謎の階段がありました。階段の下には地下室のドアがひとつ。まさかと思って降りてみると小さなプレートに小さな字でブレックファーストと書いてあります。そーっとドアをあけたら、そこはサラリーマンやら旅行者風の人たちがぎっしりいてみんな朝食を食べていました。びっくりして立っていたら、エプロン姿のおばさんに持っていた朝食チケットを奪われ、タマゴはどうする?とせっかちにきかれました。サ、サニーサイドアップ…と必死に答え、空いてる席に座りました。しばらくすると目玉焼きとカリカリベーコン、豆の煮込み、トーストが運ばれてきました。あとはコーヒーか紅茶を選んで朝食終了。すごく活気があって次から次へと人がやってきてみんな同じメニューです。よくわかりませんが、朝食屋さんなのかもしれません。私の宿にはこんなにたくさんの客はいません。それにしても、宿から遠くて寒い。翌日からしっかり着替えてコートとブーツで食べに行きました。毎朝同じメニューなので、飽きましたが…。
数日間は何事もなく、過ぎました。部屋にハシゴがあることだけは謎のままです。たまにのぼってみたりしたけど、何の意味もなくただ天井に頭をぶつけるだけです。ところが、ある晩、寝ていたら突然ドアがあいてあのインド系おじさんがずかずか入ってきました。びっくりして起き上がろうとしたら、気にしないでそのままでいいって言うので、布団の中から見ていたら、ハシゴを担いで普通に出ていきました。ただ置いてあっただけか!なんだよー!
そして別の日には…。夕方、宿に帰ってきたら、いつものインド系おじさんが私に今日新しい客が来たんだよって言うので、へーよかったね。って適当に返事して部屋に行ったら…テレビがありませんでしたー。そういうことか。ぎゃっふん!そんな感じで何日か過ぎ、ある日、ロンドンの友人と飲み明かして朝帰りしました。玄関のドアをあけたらインド系のおじさんがすごいこわい顔で立っていました。どうやら心配していたらしく、外泊するなら電話をする必要があっただろ!とめちゃくちゃ怒られました。お父さんか!!いつもは無関心なのに、ホントはいい人みたいです。なんか勝手に部屋に入ってきたり、わけがわからないシステムの宿だったけど、憎めない10日間でした。
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コメント
メメさんは、一人旅をしていたのですね。
お話すごく面白いです。
写真はないのですか?
本になりそうですね。
そしてこの記憶力、何かに記憶していたのでしょうか?それとも頭の中に?
投稿: mink | 2012年6月25日 (月) 19時19分
一人旅好きです(笑)ていうか、団体行動が苦手です(笑)他人が興味ないものが好きだったりするので。一人か数人で行くマニアな旅が多いです。
海外によく行っていたのは10年ぐらいまでだったので話題や画像を世の中にアップしたことないです。そのかわり、手書きの旅のノートを作って、たまに読み返したりしてます。で、自分の文書に大笑いしたりして…なんか暗いですね、私。
投稿: 副店長メメ | 2012年6月26日 (火) 10時16分
間違い。10年ぐらいまで→10年ぐらい前まで
投稿: 副店長メメ | 2012年6月26日 (火) 10時19分